損出しの効果と注意点

損出しという言葉をご存じでしょうか?年末も近づいて来たので、今回は株式投資における損出しテクニックをまとめてみます。

損出しとは

株式投資をしていると利益が出る時もあれば損失を発生する時もあります。きちんと損切りが出来ていれば良いですが、ズルズルと引き延ばして含み損が溜まっている銘柄は無いでしょうか?
そんな時に役立つのが「損出し」という手法になります。

株式投資をしていれば、配当金をもらうことができます。1万円の配当が出た場合、約20%の2千円については予め税金を源泉徴収され入金されるのは8千円となります。この税金を取り戻す手法が「損出し」となります。また後述もしますが、損出しはあくまで「税金支払いの先延ばし」のようなイメージになりますのでその点はご注意ください。

損出しの具体例

それでは具体的な例で損出しを紹介していきます。下記のような状況の時に損出しをする場合としない場合で考えていきます。
保有株式: A社株(100株)含み益20万円、B社株(100株)含み損10万円
今年の配当金:20万円(内4万円は税金で引かれており、手元には16万円のみ)
【ケース1】損出しをせずに年越しした場合
何も取引をせずに年を越します。株価の変動は無かったものとしたとき、以下となります。
保有株:A社株(100株)含み益20万円、B社株(100株)含み損10万円
手元資金:16万円

続いて損出しをした場合です。
【ケース2】損出しを実施し年越しした場合
B社株を売却し、損失を確定させたうえで翌営業日に再度購入します。
この場合、以下のようになります。
保有株:保有株:A社株(100株)含み益20万円、B社株(100株)含み損0円
手元資金:18万円
いかがでしょうか。B社株の含み損が消えて、さらに手元資金が2万円増えるというまるで魔法のような現象が起こっています。これが損出しとなります。損を確定し、配当金と譲渡損失を相殺させて「配当金の税金を取り戻す」ことにより手元資金を増やすことができます。
さらに、売却した株式を再購入することで含み損が消える&ポートフォリオ(保有している株式のこと)を変えないことができます。
このように、メリットの大きい損出しですが注意点があります。これは次項で説明します。

損出しの注意点

損出しの注意点をまとめてみます。
あくまで税金の先延ばしであるということ
具定例で説明します。例えばB社株を2000円で100株保有しており、それを1000円で売却したとします。このとき損失は(1000-2000)×100株 = ▲10万円となります。
上述の通り、配当金が10万円以上あれば、損失が相殺でき約2万円が損出しで返ってきます。
この時、ポートフォリオを変えないようにB社株を1000円で再び購入しますが、B社株が将来3000円に上がったらどうなるでしょうか?3000円に上がった際に売却した場合を考えてみます。

この時譲渡益にかかる税金は
(3000-1000)×100株×20%(売却した時の税金) = 4万円となります。
しかし、仮に損出しをしなかった場合は
(3000-2000)×100株×20%(売却した時の税金) = 2万円となります。
いかがでしょうか?損出しをしなかった場合のほうが税金が2万円やすいですね。またこの2万円は損出しで得た2万円と同額です。つまり損出しは「税金を先送りしているだけ」と捉えることができます。
「じゃ、意味ないじゃん」という声が聞こえてきそうですが、そんなことはないです。
現時点のキャッシュが増えるからです。キャッシュが増えればそれを再投資できます。払うべき税金を先送りすることで、手元キャッシュを厚くし資産形成を加速することが可能となります。
あと副産物的なものとして、評価損が無くなるので気分が楽になりますね(笑)

②同一価格で買い戻せるとは限らない
損出しは同一銘柄を買い戻ししますが、基本的に「翌営業日以降」に買い戻しする必要があります。
なぜかというと、特定口座での取引の場合同一銘柄を同一営業日に購入した場合「先に買い付けがあった」とみなされるからです。その結果損出しの効果が減ります。
何を言っているかといるか分からないという人もいると思いますので例を示します。
B社株を2000円で100株購入して、それが現時点で1000円まで値下がりしている場合を考えます。
B社株を5日に売却し、翌6日に改めて同一価格で購入した場合、確定損失としては、
(1000-2000)×100株 = ▲10万円となります。
しかし、5日に売却と購入を行った場合、購入したことが先とみなされるため、以下となります。
(1000+2000)/2 = 1500円が購入平均単価となり、これを1000円で売却するので
(1000-1500)×100株 = ▲5万円となり、損失額が半減しました。
このように、同一営業日で損出しをすると効果が下がります。そのため、翌営業日以降に買い戻すのが良いのですが、株価は変動します。買い戻そうと思ったら株価が急騰し、高値で購入する可能性もあります。(当然暴落して安値で買える場合もあり(^_-)-☆ )

③売買手数料がかかる場合がある
損出しで取引回数が必然的に増えるため、証券会社によっては売買手数料を払う必要がでてきます。
事前に確認をしたうえで、損出しをご検討ください。

④NISA口座は非対応
NISA口座は配当金にそもそも税金がかかっていないため損出しは対応できませんのでご注意ください。
払っていないものは当然取り返せません!

⑤株主優待期間リセットされる恐れあり
これは銘柄にもよります。株主優待の中には1年以上継続保有等が条件になっている場合があります。損出しで一度売却をした場合、その期間がリセットされることもあります。


まとめ

いかがでしたでしょうか。
損出しは手元資金が増える+評価損が消えるため精神的に楽になる。
などのメリットがあると感じています。デメリットも紹介しましたので、メリットとデメリットを比べて利用価値があると判断されたら利用するのもアリだと思います。
ちなみに私は「同一営業日に損出しをする派」です。その方がリスクが小さいという判断をしています。損出しの効果が薄まる点は、何度も繰り返し損出しをすれば良いと思っています。
私は▲10%ほどの評価損となった時に損出しを実施しています。当然ですが、もらった配当金以上の金額は損出しできませんので、いくら配当金をもらっているか(年末までにもらえるか)を計算の上で、損出しをした方が良いです。

それではまた。(;´・ω・)

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